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怠慢という不治の病に罹り 滅亡へ向かう行進をやめない彼の 明日はどっちだ
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ここからが本編です。この記事は「前」です。

歩いた区間は鳩ノ巣駅から浦山口駅ですが、あまりに長いので今回を含めて3回に分けたいと思います。 「前」では、鳩ノ巣駅から都県境となるの日向沢の峰の先までを取り上げます。

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2016年5月18日
4:25 国分寺駅

最寄り駅からだと出発が遅くなるので、この駅まで自転車で来ました。
ここから中央線に始発に乗って、西を目指します。



ガラガラの電車は鳩ノ巣駅に到着しました。
ここのホーロー看板の駅名標は、お気に入りです。



鳩ノ巣駅の駅舎です。早朝や夜間は無人駅になるようです。
駅前の休憩舎には、奥多摩町のWi-Fiが飛んでいました。ハイテクですね。
綺麗なトイレがあったので、準備をして出発します。
今回のルート、恐ろしいことにエスケープしない限り武甲山までトイレがありません。
山歩きではそれが普通なのですが、最近は山小屋や茶屋が随所にあるようなヌルい山ばかり登っていたので・・・。

6:01 鳩ノ巣駅 出発
鳩ノ巣駅の標高は307m、最初の目的地である川苔山は1363mなので、ここから1056m上げていきます。この登りだけでお腹いっぱいになれそうです。



まずは車道歩きです。ものの数百メートルですが、のっけから急傾斜なのでウォーミングアップのつもりでゆっくり歩き出します。集落内ではいくつか分岐がありますが、道なりにまっすぐ登っていけば道標が現れます。
自分の場合は、だいたい登山を始めて30分程度でエンジンが始動して楽になるので、それまでは嫌な汗をかきながら我慢の時間です。



民家の脇から登山道に入り、植林の中を登っていきます。
そこそこ急な登りですが、歩きにくいほどではありません。
雰囲気は鴨沢バス停から雲取山に登る、小袖乗越までの区間そっくりです。
しかし、ここで気づきました。

「あ、メシ買うの忘れた」

朝食は、家に出る前に食べたおにぎり一つ。
水分とチョコレートやウィダーなどの行動食は豊富に持っていたのですが、肝心の炭水化物をなにひとつ持っていませんでした。
・・・この時点で食料が買えそうな最寄りの店は、おそらく古里のセブンイレブンです。
そこまで戻っていては、今日一日のプランはたちまち破綻するでしょう。
まあいっか、と、先に進みました。
(この行為は遭難に繋がる危険なものです!)



6:35 大根の山の神(標高約660m)

ここはいくつかの登山道や林道が分岐するポイントです。これから向かう川苔山方面の他に、本仁田山(1225m)や大ダワに繋がる登山道、鳩ノ巣駅方面に戻る林道のほか、著名な廃村である峰集落跡に続く道が分岐しています。
ここは地名の示すとおり尾根に祠が立ち、朝ということもあり荘厳な雰囲気でした。
数年前にここを通った時は本仁田山からの下山時で、しかも雷鳴とどろく空模様だったため、脇目もふらず通過していました。結局その時は雷雨になる3分前に鳩ノ巣駅に到着し、難を逃れています。
ザックを下ろしてチョコレートとアクエリアスを補給し、6:45に出発です。



歩き出すとすぐに、この先歩く場所を見上げることができました。
一番高いコブが、おそらく川苔山の肩だと思われます。遠くて高いです。
それにしてもスギ・ヒノキ植林だらけ。つまらない道が予想されました。
ですが、そもそもこの日はトレーニングのつもりだったので、展望の類はほとんど期待していませんでした。



大根の山の神からわずかに林道を歩き、すぐに右手に登山道が分岐するので入ります。
すると、歩きやすい快適な道がしばらく続きます。
たいした傾斜もなく、木の根や石が張りだしていることもなく、とにかく歩きやすい。
前日に雨が降っていたのでぬかるみを警戒していたのですが、それもありませんでした。
先の行程が長いので、急げるうちに急ぎます。どうせ後半になると、地図のコースタイム以下の速さになってしまうでしょうから・・・。



しばらく快適なトラバースが続く登山道ですが、空積みの古い石垣のある谷を越えると、やや傾斜が急になります。歩幅と合わない階段も登場します。ただ、標高は稼げます。ガシガシと登っていきます。(とはいっても、トレイルランニングをされる方や登山のベテランの方からは、失笑されるほどのスローペースですが)



本仁田山・大ダワ方面からの巻道(この道は狭くてハイカーから恐れられているそうです)と合流して、道が少々不明瞭な沢筋を少しだけ進み、標高1050mあたりまで登るとベンチがあります。親切ですね。もちろん休みます。塩飴をふたつ舐めました。この日は塩飴に何度助けられたかわかりません。



8:13 舟井戸(標高約1210m)

舟井戸のコルとも呼ばれる鞍部に着きました。このあたりは、鞍部のことを「コル」や「タワ」と呼んでいる地名が多いです。
ここまで来れば川苔山はもう少しです。昭文社の地図では鳩ノ巣駅からここまで約3時間のコースタイムなので、自分の中ではなかなかのペースです。約50分短縮できました。



ミツバツツジでしょうかね。登山道のあちこちで咲いていて、励みになりました。
舟井戸にもベンチがあったので休憩。川苔山最後の登りに備えます。



舟井戸を出て、すぐに尾根道を右に分けてトラバース道に入ります。一箇所谷を越える箇所がありますが、意外に高度感があって、岩も露出しており怖い場所でした。谷を越えると広葉樹の新緑が広がって、雰囲気の良い道になります。そしてすぐに川苔山の肩に到着です。



8:31 川苔山の肩(標高約1315m)

ここは十字路になっており、川乗橋バス停から百尋の滝を経る道、赤杭尾根や日向沢の峰に続く道、川苔山山頂に至る道の合流点になります。この先のルートは、川苔山の山頂までここから往復して、次の目的地である日向沢の峰に続く尾根道を進むことになります。
鳩ノ巣駅からここまで6.6km、道がそれほど険しくなかったので、距離ほどには長く感じませんでした。
ちなみにこの箇所には茶屋だか避難小屋だかの建物があったそうですが、いまは木の残骸があるだけです。



ここから川苔山最後の登りです。やや急ですが、距離はわずかです。



8:36 川苔山山頂(標高1363m)到着

今回のルートにおける最初の目的地、川苔山に到着しました。鳩ノ巣駅からここまで6.8km(道標による)、2時間35分でした。
まだ時間が早いためか、誰もいません。ハイシーズンには沢山のハイカーで溢れる山ですが、今回は独り占めです。
この山は表記にブレがあり、地理院地図では「川乗山」とされています。一方で昭文社の地図では「川苔山(川乗山)」となっています。このブログでは「苔」の表記を使っています。そちらのほうが響きがいいような気がするので・・・。


二等三角点「火打石」1363.2m
近くに「火打石谷」という沢があるので、そこからの命名でしょうか。



この日は富士山が見えました。
木々が落葉するともう少し見えるのでしょうが、葉が茂る時期だと見える場所はかなり限られますね。具体的には、山頂の標識に向かい合ったベンチの裏側だけなので、ここで煮炊きをする人がいたらそれだけでもう見えないのではないかと思われます。


むしろこの山は、富士山よりも西側に開けた展望を楽しむほうがいいでしょう。
鷹ノ巣山から雲取山に続く石尾根や、中腹を石灰石採掘によって大きく削られた天祖山、奥多摩で最も山深いとされる長沢背稜、日原川を取り囲む山をおおむね見晴らすことができます。



望遠レンズで覗いてみると、雲取山荘の赤い屋根もはっきり確認できました。
雲取山はやっぱりいい山です。

景色を楽しみながら、チョコをかじります。
普段ならこの辺でお湯を沸かしてラーメンでも食べているところですが、荷物の重量削減のためガスバーナーすら持ってきていません。
正直空腹でしたが、行けるところまでは行こうと思いました。

ここで滝でも見ながら下山すれば、それだけで日帰りハイキングの立派な行程になります。
しかし、今日は違います。
ここが、武甲山に続く長い長い縦走路のスタート地点になります。
結局誰も登ってこないまま、9:05に山頂を発ちました。


 
川苔山の肩を過ぎ、日向沢の峰に進路を取ると、すぐに北側の眺望が開ける箇所に出ます。
ここから、武甲山に向けてのはるかな稜線が見渡せます。正直見ないほうが気が楽です。
ただ、そのどんぐりの背くらべのようなパッとしない稜線のはるか向こう側に、日光連山や関東北部の山々が屏風のように青く浮かんでいたのを見られたので、すこし気分が晴れました。



シロヤシオの花も綺麗でした。ミツバツツジと合わせて、紅白に登山道を彩っていました。良い時期に来られたと思います。



9:38 踊平(標高約1170m)

川苔山から踊平までは、いくつかの登山道を分岐させながら比較的ゆるやかに下っていきます。
踊平は鞍部になっており、ここから獅子口小屋跡を経て川井駅へ向かう道(登山当時通行止め)と、川乗橋バス停から延々と伸びてきた林道に接続しています。



この林道はいま歩いている稜線をトンネルで掘り抜いており、あと少しで埼玉県というところで途切れています。
逆に埼玉側も、この先に通過する有間峠から林道が延びており、東京都に少し届かないところで行き止まりとなっています。両者の終点は都県境の尾根を挟んで、直線距離で500mも離れていません。
もしこの林道が繋がれば、奥多摩から秩父へ直接クルマで抜けられる唯一のルートとなり、林業だけでなく新たな輸送や観光ルートとなる可能性があります。もっとも開通したとしても、既存の区間をかなり整備しない限り、一般車の通行は制限されたままでしょうが・・・。

踊平は鞍部ですから、日向沢の峰に向けて一気に標高差185mを登ります。
ちなみに日向沢の峰の読みは「ひなたさわのうら」です。「峰」を「うら」と読ませます。
踊平を出ると、尾根道と巻き道に踏み跡が分かれます。一瞬どちらを進むか迷い、急登を嫌って巻き道のほうを進みましたが、やがて合流しました。合流したところに道標があるので一安心です。



その道標から、ため息の出る登りが始まります。標高差100m以上をここで一気に詰めてしまうのです。道は尾根をジグザクに登っていきますが、防火帯で木が伐採されており、日光が背中に直接当たります。なかなかトレーニングらしくなってきました。



岩の横を回りこみ、登りも一段落かと思いきや、まだまだ続きます。水をどんどんと消費します。今回、ルート上にそれらしい水場は全くありません。そのため、ペットボトルのお茶500ml+アクエリアス500ml+水2.5Lの計3.5Lもの水を背負っています。さらに水に溶かすアクエリアスの粉も持ってきています。水分不足もそうですが、塩分不足も同様に心配すべきことでした。



ひいひい言いながら、登りきりました。
今までのスパルタンな登りが嘘のように、穏やかな道となります。まさしく飴と鞭です。
あとは、日向沢の峰に向けてゆるゆると上がっていきます。




10:01 日向沢の峰(標高1356m)到着
川苔山から2.9km(道標)、56分で到着です。地図のコースタイムだと1時間20分なので、なんとかいいペースを維持できています。というより、愚直にコースタイム通りに歩いて、さらに適宜休憩を入れていたら、日暮れまでに武甲山にたどり着くことができません。休憩は欠かすことができないので、歩く速度を早めるしかありません。山のベテランはとにかく休まずにゆっくり歩き続けるそうですが、自分はペーペーですので・・・。



日向沢の峰は狭い山頂ですが、眺めは川苔山より良いかもしれません。とくに富士山の眺めは、確実にこちらの方が分があります。今年は雪が少ないとのことですが、それでもまだ十分に残雪があるように見えます。富士山の左肩のコブ(宝永山:標高2693m)に雪がないことから、だいたい標高2700~3000mあたりが雪線のようです。



山頂に設置してある気温計は12℃を指していました。たしかに日差しは強く、登っている最中は暑くなりますが、風はやや寒いくらいでした。午前中はやはりいいですね。



ここで、鳩ノ巣駅を出てからはじめて、人とすれ違いました。
この先の有間峠にクルマを止めて、ここまで登ってきたそうです。
なるほど、有間峠は林道ですがしっかり舗装もされていて、しかも標高も高いため、散策するにはちょうどいいですね。有間峠からは見えない富士山も、ここまで来れば綺麗に見えます。
この後も、有間峠から来られたハイカーと4人すれ違いました。皆さん、やはり峠にクルマを置かれていました。
ちなみに、この日全行程を通してすれ違った人数は、9人です。そのうち5人が日向沢の峰と有間峠の間でした。つまり、その先の区間では4人。いくら平日の昼過ぎとはいえ、そこまで人気のないエリアなのかと、自らの認識を改めることになりました。



10:20に山頂を出発。これにて富士山とはお別れになります。
下り始めてすぐに都県境の尾根に合流し、棒ノ折山方面に進む道との分岐です。道標によると6kmほどなので、下り基調ということを考えると2時間半ほどで行けるでしょうか。前回棒ノ折山に登った時は曇天でご自慢の展望が全くなかったので、一瞬心が動きましたが、ここは初志貫徹で行きます。武甲山のピークを踏むまでは帰れない・・・!



10:27 有間山分岐(オハヤシの頭)

棒ノ折山の分岐から、軽く下って登り返すとすぐに有間山方面への分岐です。道標があるので、それを見落とさなければ間違えることはないでしょう。有間山と書かれた標識は、都が設置した道標とは別にあります。管轄の違いというものでしょうか。
都が設置したほうの道標には「オハヤシの頭」と記されていました(落書き?)。有間山はいくつかのピークの総称であり、それぞれのピークは「頭」と呼ばれていることから、あるいはここもすでに有間山の一部に入っているのかもしれません。
ちなみに今までの尾根をまっすぐ進んでいくと、蕎麦粒山や天目山、酉谷山などの長沢背稜を経て雲取山まで歩けます。これもなかなか魅力的ですが、我慢です。



ようやく東京都を抜け出しました。ですが、武甲山への道のりはまだ始まったばかり。
果たしてたどり着けるのか、その前に日が暮れるのか、ギブアップするのか・・・。

続きます。

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武蔵野は 月の入るべき 山もなし 草より出でて 草にこそ入れ

原野の武蔵野は知りませんが、武蔵野に生まれ育ち離れたこともないため、そろそろDNAに原野の記憶が刻み込まれそうです。
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